■井上靖 「夏草冬濤」 ■村上春樹 「象の消滅」
寝付けないこと早一週間。
寝ないと頭が冴えないのにも関わらず、あまり寝られていないので、今仕事の一体何に手をつけていいのか分からないChihhyです。
こんにちわ。
ではまず、寝付けない夜のお供、本の紹介から。
■井上靖 「夏草冬濤」
井上さんの自伝的小説。
小学生の頃を描いたのが「しろばんば」で、「夏草冬濤」は中学生時代を描いたもの。
「あすなろ物語」は子供の頃から大人になり、新聞記者として働く姿が描かれている。
この「夏草冬濤」、簡単にあらすじを言うと、"中学時代、真面目で控えめだった洪作がひょんなことから自由奔放な文学グループと行動するようになり、青春に目覚めていく"というお話。
物語中、事件らしい大きな、ハラハラするような事件はおきないし、特に劇的な変化があるわけでもない。
この一連の自伝的小説の面白さは、その心理描写にあると思う。
"自伝的"とはいえ、あくまでも小説なのだから脚色が多分に加えられているだろうが、「井上さんて人はきっとこういう性格の人なんだろうな・・・」と想像することができるのだ。
主人公洪作の静かに感じられるあつい思いが伝わってきて、なんともほほえましい気分になれる一冊。
でもまあ、「映画でヒューマンドラマは嫌いです。」っていう人は嫌いな話。
・・・ヒューマンドラマの映画にさえもできないくらい事件は起きないかも。
撮り方によるだろうけれど。
でました村上さんの短編集。
私は短編はほぼ全て読んでしまっているのだが、この本は思わず"ジャケ買い"をしてしまったのだ。
本の側面まで黄色で塗りつぶされていて、とてもかわいい。
表紙カバーに使われている象のオブジェは、藤掛正邦さんが、本書のために製作したオリジナルのワイヤーアートらしい。
これまたかわいい。
さらにこの短編集は、アメリカの大手出版社で編纂されたものを日本の新潮社が日本語版として出版したもの。
"ニューヨークが選んだ一冊"のキャッチフレーズ。
ニューヨークが選んだんだよ?
買わなきゃ一生ニューヨークへ行けないんじゃないか?、という気分にさせるそのキャッチコピーにも万歳。
- 作者: 村上春樹
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/03/31
- メディア: 単行本
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収録作品は、
1)ねじまき鳥と火曜日の女たち 2)パン屋再襲撃 3)カンガルー通信 4)四月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて 5)眠り 6)ローマ帝国の崩壊・一八八一年のインディアン蜂起・ 7)レーダーホーゼン 8)納屋を焼く 9)緑色の獣 10)ファミリー・アフェア 11)窓 12)TVピープル 13)中国行きのスロウ・ボート 14)踊る小人 15)午後の最後の芝生 16)沈黙 17)象の消滅
の17点。
私は8の「納屋を焼く」が割と好き。
"意味はない。ただ燃やしたかったから火をつけたんだ。それがたまたま納屋だったんだよ。"
という話。
この納屋を焼いた人の深層心理とやらに興味津々。
人間、必ずといっていいほど言動の根底には何かあるもんです。
この短編を読むより、自分の中の物語に対する事後処理の方に時間かかりました。
一話一話が短いので、忙しくても合間見て読める本。
★3っつです!! (ちゅーぼーですよ、マチャアキ風)
そうそう、たまに村上さんがコメントを寄せているブログ、「村上モトクラシ」なるものがあるので、興味のある人はのぞいてみるといいかも。
アンケートなんかもやっていて、読者の多くは、最初に読んだ長編小説=「ノルウェーの森」らしい。
私も例外なく「ノルウェーの森」でしたね。
たしか父が本を持っていて、そのパッケージ?に小学生の頃?に惹かれていた記憶があります。
その印象で「ノルウェーの森」を手に取ったんだと思う。
なんにせよ、いい話です。