『東京奇譚集』より「ハナレイ・ベイ」 

東京奇譚集

東京奇譚集


ハナレイ・ベイでサーファーの息子をなくした母サチの話。


サチがジャズピアノを弾くという設定がそもそも好き。


それに加えて、とても男前なやり取りをするサチ自身、とても強そうな印象を受けるのに、話全体に流れるどうしても埋められない空虚感みないなものが心地いい。


彼女は息子を振り返ってこう言う。

しかし正直なことを言えば、サチは自分の息子を、人間としてはあまり好きになれなかった。もちろん愛してはいた。世の中のほかの誰よりも大事に思ってはいた。しかし人間的には−それを自分で認めるまでにはずいぶん時間がかかったのだが−どうしても好感が持てなかった。


この一文の後、もうしばらく息子についての話が続く。

こんなことあるのかなー、と思いつつ、一方でその心境に妙に納得してみたり・・・。

・・・コメントは控えときます。

ゴホゴホッ


そんなことを思いつつも、毎年息子の命日にはハナレイ・ベイに滞在するサチは、どんな心境だったのかな、と考えてしまう。

きっと子供いないし、考えてもよく分からないだろうな、と思うけど、子供を持ってから読んでもまた違ったことを考えれそうな、"ハナレイ・ベイ"。