短編連作型長編小説 『墓の話 第三話 ある小説』 高橋たか子

『群像 9月号』より 短編連作型長編小説『墓の話 第三話 ある小説』 高橋たか子


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朝5時半起床。

出社のため、朝早くから茨城・京都間の大移動が繰り広げられたので、本を読む時間だけはたっぷりとれた。

地震め、本当に忌々しい。



途中、『群像』の中から何作か読んで、その中でも面白かった『墓の話』を。


フランス南西部のボルドー地方にあるロマネスク様式の教会を訪ねまわった”私”は、とある小さな教会で、墓守から「或る小説」を受け取る。

墓地に埋葬された人”ジャン・ピエール”の自伝だというその小説は、彼がなぜ死んでいくことになったのかが書かれていたのだが・・・。

という話。


いや、これもまた話の構成がよくできてる。

墓守と死人の運命が複雑に絡み合っていて、こんなことを言ったら話の内容が予想できてしまうかもしれないけれど、双方の思いに同情してしまった。


さらに自伝を読み終えた”私”に明かされた小説の後の出来事。

この部分が自伝の部分を引き立ててるよ。

この小説のあとの出来事があってこそ、ジャンと墓守との数奇な運命が映えてくる。


やりきれない思いを静かに表現したこの話、なかなかオススメどすえ。